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アレハンドロ・アメナーバル(Alejandro Amenábar)監督、英語台詞のスペイン映画
『アゴラ(Agora)』。

Agora


ローマの支配下にあった、4世紀のエジプト、アレクサンドリアが舞台の、史実を元にした物語。

ローマ帝国は衰え、これまでのギリシア神話の神々への信仰から、キリスト教への移行は勢いを増していた。
アレクサンドリア図書館の最後の所長テオンの娘で、天文、哲学、数学者であったハイパティアは、キリスト教徒が図書館を占拠、破壊する前に可能な限りの書物を守り、迫り来る宗教と思想の変化の中で、『盲目的に神秘を信じることよりも、常に疑問を持ち真実を知ろうとすること』の信念を貫ぬこうとする。


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世界最古で最大の図書館といわれている、失われたアレキサンドリア図書館。
エジプトの神とローマ・ギリシャ神話の神が混在。


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図書館で、哲学や天文学を教えるハイパティア。


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迫り来るキリスト教徒暴徒たち。この大切な書物を破壊される前に移動させなければ!
なんか、その昔観た角川映画『敦煌』を思い出して仕方がなかったシーン。


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ハイパティアの教え子で後にアレキサンドリアの市長となる、オレステス。
ハイパティアに愛情を抱く。
ギリシア・ローマ神信仰と、キリスト教徒、ユダヤ教徒のいがみ合いは度を増してゆく。

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ハイパティアと彼女の奴隷、デイヴス。
講義の手伝いをする彼は天文学に興味を抱くが、拘束された奴隷の身であるために学問の夢は叶えられず、抑圧された感情は、キリスト教徒になることで発散される。
ハイパティアに密かに思いを寄せている。


観始めよりも、話が進む程に入り込んでしまう映画。
この作品は、反キリスト教映画としてキリスト教関係の人からかなり批判されているようだ。
確かに、キリスト教徒達の不条理な破壊行動や、圧政的な態度、異教徒や異端者に対する非情な仕打ちに怒りを覚えずにはいられなくなるように作られているが、怒っているだけではなく、忘れてはいけないのが奴隷の存在。
奴隷の存在に疑問を感じない裕福なローマ人。他国を侵略し優雅に暮らす彼らの許、貧困に喘ぐ地元の民は苦しんでいたという事実。彼らが何もしてくれない間、キリスト教徒達は飢えた民にパンを与え、本当に救いを与えてくれる神を信じ、立ち上がることを教えた。

特にキーになっているのは奴隷のデイヴス。映画の中で、彼はただの奴隷ではなく、この時代の象徴であり人間の本質を代表していると言っても良い。デイヴスの存在のおかげで、この映画が単純なキリスト教批判では無くなっているのだと思う。

どんな宗教も、実際に導いてくれるのは人間。そして長い歴史の中で、常に愛と正義にあふれて素晴らしいばかりではなかった。
世の中いつも自分の信じるものだけが正しいというわけでもない。

宗教批判やお互いを批判し合う前に、なぜこうなってしまったのか、人間はどうしてこうも非情になれるのか、どうしてこんな悲劇が生まれてしまうのかについて、過去を振り返るだけではなく、現代でも同じ様なことが世界のどこかで起こっているという事実をしっかりと考えるべきだし、考えさせられる映画であると思う。


と、落ち着いて感想を書いている私も、観ながらずっと、酷い酷い、どうして誰も何も言わないの?と、どうしてノーと言わないの?と、その不条理さに怒りを感じ(しかも徐々に感情はエスカレート)、最後はエンドロールが終わった後も映画館から出られない程泣いて泣いて涙が止まりませんでした。
良い映画だった。 
終わってからあんなに泣いたの、『パンズ・ラビリンス』以来。
『ヴィクトリア女王 世紀の愛』でも泣きましたが...



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